美容室でよく聞く言葉に「髪を傷ませない」というものがあります。
もちろん 髪への負担を減らすことは大切です。
ただ現実的には カラーや縮毛矯正などの薬剤を使う施術で 髪への負担を完全にゼロにすることはできません。
だからこそ私は「傷ませない」より「余計に傷ませない」という考え方が大切だと思っています。
例えば すでに縮毛矯正がかかっている毛先に 毎回同じように薬剤を重ねる必要があるのか。
すでに色が入っている毛先に 毎回強いカラーをする必要があるのか。
こうした部分を考えるだけでも 髪への余計な負担を減らせることがあります。
髪は一度ダメージを受けると 自然に元の状態へ戻るわけではありません。
だからこそ 一回の施術だけを見るのではなく これから先の施術まで考えることが大切です。
今日きれいになる。
そして半年後もきれいでいられる。
その両方を目指すことが 本当の意味で髪を大切にすることだと思っています。
「強い薬剤の方がしっかり伸びるんじゃないですか?」
縮毛矯正では こんな疑問を持たれる方もいらっしゃいます。
確かに 髪の状態によっては強い薬剤が
必要になることもあります。
でも 強ければ強いほど良いというわけではありません。
必要以上の力を髪に与えると その分負担も大きくなります。
だから美容師は 髪の状態に合わせて薬剤の強さを考えます。
根元と毛先で薬剤を変えることもあります。
髪が細い部分としっかりしている部分で考え方が変わることもあります。
大切なのは「強い薬剤を使うこと」ではなく「必要な分だけ作用させること」です。
これは縮毛矯正に限らず カラーでも同じ考え方ができます。
髪をきれいにするためには 髪の体力を残していくことも重要です。
その時だけの仕上がりではなく 次回の施術まで考えて薬剤を選ぶ。
それが長くきれいな髪を楽しむために大切な考え方だと思っています。
「私と同じような髪質の人なのに 仕上がりが違う。」
そんな経験はありませんか。
実は髪の仕上がりは 髪質だけで決まるわけではありません。
同じように見える髪でも カラーの履歴や縮毛矯正の履歴 毛先のダメージなどは一人ひとり違います。
さらに 髪の太さや水分量 クセの出方も細かく違います。
そのため 同じ薬剤を使って 同じ時間を置けば同じ仕上がりになるというものではありません。
特に縮毛矯正では 髪の状態を見ながら薬剤や時間を調整することが重要になります。
美容師が髪を触りながら確認しているのは こうした違いです。
だからこそ SNSで見つけたスタイルをそのまま再現するのではなく その人の髪に合わせて落とし込むことが大切です。
「この髪型にしたい」という希望と
「今の髪でできること」。
その二つを近づけていくことが美容師の仕事だと思っています。
美容室では「できます」と言うことだけが美容師の仕事ではありません。
時には「今はやめておきましょう」とお伝えすることもあります。
例えば 髪の体力が十分に残っていない状態で 強い薬剤を使う施術を希望された場合です。
希望を叶えたい気持ちはもちろんあります。
でも その場で理想の仕上がりになったとしても その後に髪が扱いにくくなってしまえば 本当の意味できれいにしたとは言えません。
特に縮毛矯正やブリーチなどは 髪の状態を見極めることがとても重要です。
過去にどんな施術をしているのか。
現在の毛先がどのくらいの状態なのか。
これからどんな髪にしていきたいのか。
そこまで考えて施術方法を決めます。
場合によっては 一度見送って 次回にできる状態を作っていくこともあります。
これは「できないから断る」のではなく「これからもきれいな髪を楽しんでもらうために断る」という考え方です。
美容室で何でもできることが良い美容師とは限りません。
必要な施術と 必要ではない施術を見極めることも 技術の一つだと思っています。
「髪を伸ばしたいです。」
美容室ではよくいただくご相談です。
実は髪を伸ばす時に大切なのは「切らないこと」だけではありません。
むしろ大切なのは 毛先をどれだけきれいな状態で残せるかです。
髪は根元から伸びていきます。
つまり 毛先ほど長い期間 紫外線やドライヤー アイロン カラーなどの影響を受けています。
そのため 伸ばしている途中で毛先のダメージが大きくなると 結果的に毛先を切らなければならなくなることがあります。
だから私は 髪を伸ばしたい方には「とにかく切らない」より「必要なところだけ整える」ことをおすすめしています。
毛先を少し整えるだけでも まとまりやすさが変わることがあります。
また カラーや縮毛矯正をする場合も 今後どれくらい伸ばしたいのかを考えながら施術することが大切です。
目標の長さまで伸ばすために
今できることを逆算する。
これも美容師の大切な仕事だと思っています。
髪を伸ばしたいけれど いつも途中で毛先を切ることになってしまう方は 一度ご相談ください。
「伸ばすための美容室」という考え方もあります。